恥族の話

数ヶ月前から念願の一人暮らしを始めて

そのタイミングで恥族(はじぞく)って集団の隣に引っ越した

彼らは生活スタイルは私たちと何ら変わらないけど

恥をかいたと思ったら、死んだフリをするらしい


引っ越した翌日の昼、ホームパーティに招待された

引っ越してきたお祝いだってさ

一般人1人対恥族15人

圧倒的に劣勢、でも興味が湧いて行ってみた


ドアを開けたら恥族たちが

みんな笑顔で迎えてくれた

美味しいワインを片手に乾杯

飲みながら談笑もしながら


ワインをちょっと飲みすぎたかな?

トイレに行きたくなってきた

料理はまだだしセーフってことで

10分間座ってこもった


トイレから出てきたら

15人揃って死んだフリしていた

1人の白シャツには赤色のシミ

1人だけは本物の事件?


まず警察に伝えよう

血がついた人1人と死んだフリが14人います

また恥族か、警察からのため息

よく通報は受けてるけど

問題なし、大丈夫


一旦冷静に考えてみる

血の人は本当に血が出てる?

シャツの匂いを嗅いでみる

なんだか美味しそうな匂いがする


血の匂いじゃない!ちゃんと生きてる!

だったら何があったんだろう?

辺りを見回すとテーブルの上には

私の知らないミートソースパスタ

ミートソースパスタ、赤色のシミ

そうか!すすったときに飛び散ったのか!


ということはこの恥族たちは

招待客がいない間に

パスタを茹でてソースを和えて

勝手にいただきますをしていたな!

置いてけぼりにされたけどスッキリした

15人の恥族を1人で皆起こそうじゃないか


いろいろ声をかけてみた

ミートソース飛ばしちゃいました?

ミートソースって美味しいですよね!

Tシャツの赤い点々おしゃれですよ!


逆効果だった

死んだフリから死後硬直に変わった人がいた

飛ばした人はわかるんだけど、他の人が死んだフリをしているのはなぜだろう?


何度声をかけても起きる気配がない

生き返る気配がない、解決策はない

思い切って自分の話をしてみた

「友だちの家の庭にあったスプリンクラーにチョコレートを詰めて、出禁になったことがある」


恥族が一斉に生き返った

こっちを見て笑顔になっている

自分たちの失敗は大いに嘆くけど

人の失敗は笑って流すんだね


それからすぐに夜になり

ホームパーティがお開きになった

恥族皆で見送ってくれて

「是非また遊びにきてください!」

引きつり笑顔ではいと答えた


それ以後もときどきパーティーに誘われる

1パーティーにつき1死んだフリをされるし、

毎回ミートソースパスタが出てくる

学習しない恥族たちだ