ポエトリー「画家の見習い」

どうしよう、慌てふためく

バイト初日にやっちゃった

画家の見習いやりたくて

めちゃくちゃ面接頑張ったのに


画家の先生デッサンしたくて

梨を一玉買ってきた

まばゆいほどの光を放つ

最高級黄金の梨


そんなことなど露知らず

一玉丸ごと食べちゃった

バイトに入ったお祝いと

てっきり勘違いしたもんで


梨がない、先生が騒ぐ

近くの人たちみんなで探す

探せど探せど出てこない

だって見習いの食道の中


一口かじるとしっとり甘い

感動的な梨だった

この味みんなに伝えたい

でも食べたとバレると怒られる


農家に片っ端から電話してみる

いい梨が要ります!今欲しいです!

さすがにすぐは無理だった

黄金の梨、補充はできず


先生に白状してみる

私が全部食べました

みんな一気にこっち見る

先生ハテナが止まらない


そういや君は誰だっけ?

見習い初日の者ですが

雇った記憶がないんだが

面接全員落としたし


手紙はちゃんと読んだかい?

まだ封筒すら開けてません

そこに不採用と書いてある

確認不足が止まらない


張り切ったけど見習いじゃなくて、

単なる不法侵入だ

おまけに梨も食べちゃった

不法侵入、梨泥棒


本当に梨を食べたのか?

はい、美味しくいただきました

だったら証拠を見せてくれ

頭を抱える梨泥棒


芯でも軸でも見せますよ

他の梨でもあるだろう

その梨ってとわかる証拠は何か

それにしかない特徴って何だろう?


先生思い出したことがある

その梨食べた人の胃は

まばゆい光を放つらしい

カーテン閉めて電気を消そう


消した瞬間、胃袋が

金色綺麗に輝いた

やっぱり黄金の梨はすごい

一同拍手、梨泥感動


解決したから部屋を出よう

先生そこに待ったをかける

泥棒なんだし反省しなさい

警察行って怒られる


バイトじゃなくてなんでもなくて

こちらはただの梨泥棒

次こそ面接ちゃんと受かって

見習いやって梨食べよう